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[標本番号:No.1204   採集日:2017/06/29   採集地:栃木県、日光市]
[和名:コバノエゾシノブゴケ   学名:Thuidium delicatulum]
 
2017年9月28日(木)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(i)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a) 発生環境、(b) 植物体、(c) 標本、(d) 標本の一部、(e) 乾燥時、(f) 湿時、(g, h) 茎葉、(i) 茎葉の先端、(j) 茎葉の基部、(k, l) 茎葉の葉身細胞、(m, n) 枝葉、(o, p) 枝葉の先端、(q) 毛葉、(r) 茎の断面

 今年6月29日に龍王峡の鬼怒川遊歩道を散策した時、遊歩道にトヤマシノブゴケの群落と隣接するように群れをなしていたシノブゴケ属のコケを持ち帰っていた。標本を採取した時は瑞々しい黄緑色だったが三ヶ月経過した今は、茶褐色に変色した部分が増えていた。

 小径脇の岩や腐植土に群生していた。茎は数回羽状に分枝し、繊細な姿をしている。茎や枝の表面は毛葉でおおわれている。ルーペで見ると茎葉の先端は尖ってはいるが、透明でもなく長く伸びてはいなかった。茎葉は三角形で枝葉よりもはるかに大きく、長さ1mm前後、深い縦皺がいくつかあり、上部でやや急に細くなり狭い二等辺三角形となっているが、透明な尖状にはならない。中肋は太く、先端近くに達する。葉縁は狭く反曲する。茎葉の葉身細胞は不規則な多角形で膜は厚く、裏面の中央には牙状の乳頭が一つある。
 枝葉は卵形で鋭頭、透明尖はなく、小さな枝と大きな枝では葉の大きさが倍ほど異なる。枝葉の中肋は葉長の3/4ほどに達する。小さな枝の枝葉は長さ0.2mm前後、大きな枝の枝葉は0.3〜0.4mmで葉の先端には複数の乳頭がある。枝葉の葉身細胞は茎葉の葉身細胞とほぼ同様で、裏面に大きな牙状の乳頭が一つある。毛葉は一細胞列のものが多いが、中には2〜3細胞列のものもあり、腔上に乳頭があり、先端は尖る。

 平凡社、保育社のいずれの図鑑の検索でも、コバノエゾシノブゴケ Thuidium delicatulumに落ちる。種の解説を読んでみると、観察結果とほぼ符合する。