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[標本番号:No.1205   採集日:2017/09/18   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ヒロハツヤゴケ   学名:Entodon challengeri]
 
2017年10月1日(日)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(h)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a) 発生環境、(b, c) 植物体、(d, e) 標本、(f) 茎の一部、(g, h, i) 茎葉、(j) 茎葉の上半部、(k) 茎葉の葉身細胞、(l) 茎葉の基部、(m) 枝葉、(n) 枝葉の上半部、(o) 枝葉の葉身細胞、(p) 枝葉の基部、(q) 茎葉の断面、(r) 茎の断面

 ふだんよく散策する近場の都市公園、日光だいや川公園の遊歩道脇には一面にコケに覆われた場所がとても多い。それらの大部分はハイゴケとトヤマシノブゴケとツヤゴケ属で、緑の絨毯を作っている区画が広範囲に広がっている。そのツヤゴケの仲間がどういう種なのか気になってはいたが、これまできちんと調べる機会がなかった。そのツヤゴケ属を持ち帰ってきた。

 茎は這い、1〜2回ほど羽状に分枝し、平面的に広がる。枝は葉を含めて1〜1.5mm。茎葉は枝葉よりずっと大きく、扁平につき、卵状楕円形で、主茎では長さ2〜3mm、枝分かれした二次的な茎では1.5〜2mm、葉身部では深く凹み、葉の先端部は尖る。中肋は2本あるが、非常に短く、葉縁はほとんど全縁ないし非常に微細は歯がみられる。
 茎葉の葉身細胞は線形で、葉の中央部では長さ50〜80μm、幅5〜6μm、膜はやや厚い。葉の翼部には方形の細胞が中肋の近くまで広がり、細胞の大きさは、長さ20〜40μm、幅15〜30μm。枝葉は茎葉より小さく、長さ1〜1.2mm、茎葉よりやや細身で、葉縁は全縁、中肋は弱い。枝葉の葉身細胞も茎葉のそれとほぼ同様。葉の断面で、中肋の周辺では2層になっている。茎の断面では表皮細胞は厚膜で小さく、中央に弱い中心束がある。

 ヒロハツヤゴケEntodon challengeriとしてよさそうだ。念のために保育社図鑑と平凡社図鑑のヒロハツヤゴケの説明を読むとほぼ符合する。それにしても、日光だいや川公園では非常に広範囲にハイゴケとヒロハツヤゴケが混生した緑の絨毯が広がっている。