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2006年9月28日(木)
 
難しい横断切片
 
 それにしても、蘚苔類の葉の横断切片作成は難しい。きのこ世界でも、ヒダや傘上表皮の観察をするには、15〜30μmほどの薄い切片作りが必要となる。でも、50〜60μmほどの厚みがあっても、多くの場合観察にはさしたる支障はない。
 葉状体の苔類には厚みがあるので30〜40μm幅に切り出しても充分観察可能である。ところが、蘚類やら茎葉体苔類の葉は多くが一層の細胞からできている。この横断面を得るためには、切片の厚みは、少なくとも中肋部の幅と同じかそれより薄くなければならない。
 これまで、傘径1.5〜3mmという小さなきのこのヒダを切り出すのにしばしば難儀してきた。このサイズだとヒダ一枚の幅は0.3〜0.5mm、厚みは0.1〜0.2mmほどだろうか。でも、このヒダの横断切片は100μm以下に切れば、倒れずに横断面を見ることができる。
 ところが、コケの葉ときたら、その厚みは0.1mmなんてもんじゃない。もっともっと薄いのだ。だから、倒れないように薄く切るには、少なくとも15μmより薄くなくてはならない。これは、徒手切片として作成するには非常に高度な技術・技能が必要とされる。
 残念ながら、これまで観察してきた蘚苔類では、こういった薄い横断切片を作れたことはまだ一度もない。くやしいがいまだに薄切りは苦手である。ただ、きのこと違って多少押さえても簡単には潰れないことが、せめてもの救いだと思っている。