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2006年10月2日(月)
 
瓦状と倒瓦状
 
 茎葉体苔類の葉の重なり具合を表す述語に瓦状succubous、倒瓦状incubousという用語がある。これが、なかなか理解できなかった。蘚苔類の解説書や図鑑に掲載された図をみると、瓦状という説明のところにある絵は、どれも瓦を重ねたようには描かれていない。倒瓦状という用語の説明に描かれている方の図の方が、瓦を重ねた状態に見えるのだ。
 最初は、述語に対する挿絵が間違って入れ替わっているのだろうと思っていた。ところが、どの本をみてもみな同じような絵が掲載されている。となると、これは間違いではなさそうだ。でも、どうして「逆さまの用語」が使われているのだろう。
 背側、腹側の意味も同じく、とても分かりにくかった。蘚類と茎葉体の苔類とでは、背側というときの「背」の意味が異なっていた。さらに、苔類では腹葉underleafというものが重要で、これは、腹側に付いた葉であり、茎葉体苔類の葉の付き方を示すときには、慣例として腹側を表示して図示することになっているという。常識というか、あまりにも当たり前だからなのか、瓦状などを図示した説明には「腹側からみた図」といった注釈はほとんどない。
 瓦状の意味を理解するためには、その前提として、背腹の概念と、茎葉体苔類を図示するときの常識を理解していなければならないことを知った次第である。この概念を正しく理解するのに1ヶ月ほど迷走するはめになった。