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2017年4月29日() 同じ場所で同じコケを採取していた
 石灰岩生のキノコを目的に栃木市の満願寺に行って、ご本尊の鍾乳洞周辺を探したが、またもや見つけることはできなかった。それならせめてコケの観察練習をしてみようと思って、鍾乳洞入口付近の崖に平らなマットを作っているヒラゴケ科の蘚類を採取してきた(a, b)。

 一か月近く放置してあったが、昨日標本を取り出した(c)。この仲間の蘚類は、乾燥しても湿っていてもあまり姿が変わらない。それでも湿っているほうが観察は楽なので、いったん水没させて葉が伸びたところで(d)、改めてルーペで覗いてみた。どうやら中肋はなさそうだ。葉の基部の後ろ側の縁が折り曲がって小片をなしているように見えるがはっきりしない(e)。
 葉を取り出して並べてみると、葉の片側の縁が小さな舌状に折れている(f)。顕微鏡でみるとそれはさらに明瞭だった(g)。葉の上部から中央部の細胞は菱形で小さいが(i)、基部の細胞は紡錘形でとても大きい(j)。ヒラゴケ科で中肋がなく茎の基部に小舌片をもつ蘚類といえばタチヒラゴケ属ということになる。そこで平凡社図鑑と保育社図鑑をみると、タチヒラゴケらしいことが分かった。過去に何度か観察したことのあるコケだとすぐに思い出した。

 「観察覚書」に掲載しようと確認したところ、2007年2月25日に全く同じ場所で同じタチヒラゴケを採取していることが分かった(標本No.116)。長いことコケと離れていた上に、10年も前のことだったので、すっかり忘れていた。全く同じ場所で採取した同一種の蘚類を重ねて掲載しても意味がない。そこで観察覚書には掲載せず、「たわごと」に経緯を記しておくことにした。
 思い返せば、過去にも観察こそしたものの、観察覚書には掲載しなかったものが多数ある。そのため観察覚書の標本番号は飛び飛びになっている。今回の標本もNo.1176という番号を与えたが、そのまま標本箱行となった。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)