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2018年5月15日(火) 知らずに立ち寄った湧水庵だったが
 先日男鹿川に沿って会津西街道を北上したおりに、以前から気になっていた蕎麦屋湧水庵に寄ってみることにした。蕎麦が美味いとの評判が気になっていたからだ。
 この地は2015年の集中豪雨で大きな被害を被り、店の前にあった橋が落ち(雑記2015.10.25)、川の対岸に店が見えてもたどり着くにはずっと先の橋を渡って対岸の未舗装路を走らねばならない。蕎麦屋は休業中で再び再開できるめどはたっていないという。
 店の隣に「けむり小屋」という小さな小屋があり、覗いてみると「どうぞどうぞ。コーヒーを入れますから飲んでいってください」と声をかけられた。中に入って腰掛けると、やがて棒のようなものを二本もった先生といわれる人がやってきた。この先生が湧水庵の店主なのだそうだ。
 やおらその棒の先端を連れ合いの体に触れさせると、棒が勝手に動いてX状に交差した。すると「肩こりが強いんじゃなかろうか」と言う。また耳のあたりにその棒を触れ「こちら側の耳が悪いんじゃないかい」とか言う。その先端を体のあちこちに触れては診断めいた台詞がでてきた。なんでも磁気の変化で体の悪いところがわかるのだという。狐に包まれたようで、何か余興をやって楽しませてくれているのかと思った。押しつけがましい雰囲気はなかった。
 どうやら診断を受けに来た客と思われたようだ。そうこうしているうちに、首都圏や福島県から次々に車がやって来て「けむり小屋」に入ってきた。顔なじみが多いようだった。あとで知ったことだが、そこは磁気の強い「パワースポット」として有名な場所なのだという。遠方からの客は「けむり小屋」で先生(店主)の施行する「ダウンジング効果」を期待してくるのだという。ダウンジングなどという言葉はこれまで聞いたこともなかった。
 「ご馳走様」と言って「けむり小屋」を後にしたが、特に「診断?」料金を請求されたり何かを売りつけられることもなく、気持ちよく送り出してくれた。ありふれたインスタントコーヒーも味は悪くはなかった。水のせいなのだろう。でも、世間はいろいろな世界があるものだ。