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2020年12月4日(金)  山歩きのこと (3)
 ふだん独りで山野を歩くときは、それが10時間以上に及ぶ場合でも、休憩というものを取ることはほとんどない。もっとも歩行中にしばしば写真を撮るために10数秒から数分ほど停止する。きっとこれが適度の休憩になっているのだろう。
 10分以上のまとまった休憩を取ることは、昼食としておにぎりなどを食べる時に限られる。景観を楽しんだり野の花などを鑑賞するために、やや長時間一定の場所に留まることはあっても、それは休むためではない。だから晩秋から初春の頃には花もないので、全く立ち止まることもなく7〜8時間ほど歩き続けることもしばしばある。
 山歩きをしていて休憩を取らない最大の理由は、独りで休憩をとっても面白くないからだ。家族や友人や仲間と一緒なら、休憩時間も楽しく過ごすことができる。しかし独りだけだと、ただ呆然とあらぬ方を眺めたり、つまらないことを考えてしまう。
 一緒に山を楽しめる仲間がほしいと常々思っているが、いまだそれはかなわない。地域の山の会に入ればよいだろうにという知人もいる。しかしまず第一に集団で山を歩くことは大嫌いなのだ。ふだんでも隊列を作って山を歩く集団にであうとうんざりする。
 また、自分と世代や体力や技量が近く、さらには好みの傾向が共通する仲間が得られればまだしも、まずその可能性は非常に低い。また、大部分の山の会では、北アルプスや南アルプスなどを歩くことに憧憬の念を抱いている人が多いので、年間計画にはたいていそれらの地域が入っている。自分にはそういった気持はまったくない。
 さらに中高年主体の山の会には、定年後に山登りを始めた人たちが圧倒的に多い。彼らが槍ヶ岳や北岳に憧れる気持ちは理解できなくないが、自分にはそういった気持もまったくない。深田久弥の日本百名山にも全く関心はない。近郊の山々を楽しめればそれで十分なのだ。経済的にも年に何度も遠出するだけの金銭的ゆとりなどまったくない。
 また休憩のことだけではなく、一般常識や山の常識からはかなり外れているが、山に入っても水分はあまり取らない。7〜8時間の山行でも350mLのペットボトルを一本持っていくだけだ。そして大抵の場合、出発点に戻るまでキャップを開けることがない。無駄に背負って歩いているだけと揶揄する知人もいる。