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2021年9月13日(月) 山歩きのこと (4)
 山では多くの人がはじめは元気よく早い足取りで歩き出す。40〜50分もすると息が切れるのか10分間以上の休みを取る。平らな道や下り坂になると途端に歩みが早くなる。要するに早くなったり遅くなったりだ。このパターンを繰り返して進み、昼食時などには30〜50分以上休むようだ。山頂近くになると息が上がり疲労も加わって足取りが重くなり、出発時の元気はどこへやら、極端に歩みが遅くなる。若いころには当初自分も同じような歩き方をしていた時期があった。

 10代から30代頃までは、標準タイムの30〜50%の時間で山を歩けるようになっていた。山歩きは好きだが先天的疾患のため重い荷物は背負えない。そこで衣類と食料、水を極度に減らして荷物の軽量化を図った。そして休憩というものは2時間に5分くらいだった。さらに山歩きのためではなかったが、日常的に耐寒訓練と定期的絶食、耐渇訓練をしていた。このため一泊二日とされるコースはたいてい日帰りで歩けた。
 たまにグループ山行に加わることもあったが、その場合歩行速度や休憩はグループ全体のペースに合わせた。食事時は長時間の休みにも付き合った。しかし、そういう歩き方は自分にはとても辛く疲れるものだった。他にも理由はあるが、そのうちにほとんど独りだけか妻と二人だけで歩くようになっていた。

 自分の現在の歩きはスタート時からとてもゆっくりだ。疲れ切って歩むときの速度に近い遅さだ。そして上り坂を終えて平らになったり、下りになってもほとんど速度を変えない。全体を通しておおむねゆっくりペースで歩いている。このため草花や景色をたっぷり楽しめる。そして歩みを止めるのは、主に衣類を着脱したり撮影のためで、ほぼ2分以内に収まる。昼食をとるために停まる場合も、長くても10分を越えることはない。さらにそこが危険個所でなければ、歩きながら食べることも多い。
 このため、いつも歩き始めは大部分の人たちに追い越される。しかしやがて追い越していった人たちが休憩している姿に出会う。そしてしばらくするとまた彼らに追い越される。何度かこんなことが繰り返され、そのうち彼らが休み始めた姿を横目に先に進むことになる。だから山頂近くで急斜面などが現れても、息切れはせず足取りもさほど重くはならない。結果として他の多くの人達よりも先に目的地に着く。

 山のガイドブックにはたいてい区間ごとの標準時間といったものが記されている。さらにたいていは標準時間には休憩タイムは含まれていませんと書かれている。最近は高齢による身体機能の低下を意識するようになった。それでも上述のようなゆっくり歩きをしているにも関わらず、結果的に標準タイムとほぼ同じか、その90〜95%ほどの時間で歩いているようだ。先日の日光白根山登山でも、結果的に他の大部分の登山者よりもずっと早く出発点に戻っている。似たような経験は頻繁にある。
 さらに登山中を通して途中で水分を直接とることはほとんどない。果物を齧りながら歩くことも多いので、これは水分補給にもなっているのだろう。息を切らすことが少ないためか、強い喉の渇きほとんどはなく、発汗量も人より少ないようだ。