2002年6月12日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 待望の雨がやっと降り出したが、このところの長期にわたる雨不足のせいかきのこの姿が全くないので、今朝はミクロ観察をして楽しんだ。まず先入観抜きにミクロの観察をして、それからパズルを解くように検索表をたどっていった。
 日光で先日採取してきたチャワンタケはいくつかの種類があったが、昨日とはまた別の一つ(a)を顕微鏡で観察した。このチャワンタケはハルニレから発生していたものだ。切片(b)を切り出して、すぐにメルツァーで染色(c)してみた。胞子嚢先端が青く染まり、胞子の表面には小さなイボ状の突起が見える。さらに拡大する(d)とより明瞭にわかる。側糸(e)は特に特徴はない。胞子サイズは12〜15×6.5〜8.5μm。Peziza echinosporaのように見えるが、樹上からも落葉からも発生しているのが気になる。
 同じく日光で採取したミズベノニセズキンタケと思える菌(f)から切片(g)切り出して、メルツァーで染色(h)してみると、心なしか子嚢先端がわずかに薄青く染まっている。もしミズベノニセズキンタケなら青くならないはずだと思って、胞子(i)をみたり、側糸(j)をみるが、やはりミズベノニセズキンタケそのものに見える。胞子サイズは11〜13×4〜5μmほどで、子嚢の中に2列に並んでおさまっている。

[追記:2006.5.14]
この菌はミズベノニセズキンタケではなく、ニセビョウタケ属Hymenoscyphusの仲間の菌である。というのは子嚢頂孔がヨード反応陽性であるから、ミズベノニセズキンタケ属Cudoniellaではないことは明白である。思い込みと勘違いに基づく誤った判断による記事である。

日( )