2002年10月29日(火)
 
 早朝キノコ観察の足だったバイクを廃車にした。HONDAのTLR200というトライアルバイクで、長いこと愛用していたものだ。片道500Kmを自走してトライアル競技会に参加したり、雪の山を特別注文のスパイクタイヤで山頂まで登ったこともあった。きのこ観察ではこのバイクはいろいろ役に立ってくれたが、長い年月の酷使の中で老朽化も進んだ。さらに両手指先もさらに悪化してバイクの正確な操作も不可能となってきた。
 「足」を失ってしまったので、今朝は先に採取したコナガエノアカカゴタケを顕微鏡で観察した。
 
 
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
  コナガエノアカカゴタケの卵(a)を地中から掘り出してみると長い根状菌糸束が砂地深く延びている。その先端はコウボウムギ、ハマニンニクなどのイネ科植物の腐朽根などにつながっていた。砂を洗い落として縦に切断(b)してみると、柄と頭部網目部分がコンパクトに折りたたまれ、全体がゼラチン質で包まれている。今度はこれを水平方向に切断(c)してみた。
 成菌では担子器をみることはできないので、卵の中から組織を取り出した。透明で薄膜の担子器(d, e)が多数密集している。一つの担子器には4〜8つの胞子がついている。最初水でマウント(d)したのち、メルツァー液で染色してみた(e)。メルツァーでは担子器はうまく染まらない。胞子(f)はカゴタケ属やアカカゴタケ属の常として、小さくて平滑で単調な姿をしている。

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