2003年4月1日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 クロハナビラタケ(a)とクロハナビラニカワタケ(b)はまったく別種のきのこであるにもかかわらず、和名も似ており乾燥しきった状態では実によく似た姿になる。かたやズキンタケ科の子嚢菌、かたやシロキクラゲ科の異型担子菌である。3月30日の笠間市では両者が同じ広葉樹の倒木からほとんど乾燥した状態で並んで出ており、一目見た程度では区別できなかった。
 子実体が湿り気を保った状態のときに両者を並べてみると(c)確かに違いは明瞭にわかる。それぞれのヒダを1枚ずつ並べてみると、クロハナビラタケ(d)の子実層面には独特のしわがある。それに対してクロハナビラニカワタケ(e)のほうは純粋に平滑である。
 クロハナビラタケの切片を3〜5%のKOHに浸すと、すみれ色にも似た赤紫〜紫色の色素が滲出する(f)。この反応をIonomidotic反応と呼んでいるようだ。それに対して、クロハナビラニカワタケで同じことを試みると、やや緑がかった薄い褐色から暗い緑色の色素が滲出する(g)。
 クロハナビラニカワタケは自然界ではその名とは違って、やや赤みがかったもの(b)やら暗緑色を帯びたもの(h)をしばしば見かける。ただ、これらはからからに乾燥するといずれも真っ黒になり、クロハナビラタケと紛らわしい姿となる。
 キクラゲの仲間のクロハナビラニカワタケは海藻のワカメなどによく似た食感があり毒はなさそうだが、子嚢菌のクロハナビラタケは食べると激しい腹痛と下痢を起こすといわれている。乾燥状態のものを採取した折には十分な注意が必要だ。もっともこういった怪しいキノコを食べるのはやめた方がよい。

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