2003年5月12日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 シャグマアミガサタケとオオシャグマタケとは外見から明瞭に区別できると記されている図鑑類があるが、見ただけでは区別できないことも多い。先日の日光で観察したものから、あえて紛らわしい個体を二つとりあげた。左側上下の個体(a, g)は5mも離れていないところに発生していたものだ。環境はコメツガ、モミ、カラマツ、ヤマザクラなどの混交林である。
 上段がシャグマアミガサタケ(a)、下段がオオシャグマタケ(g)である。頭部から切片を作り(b, h)、倍率を上げて托外皮層や托髄層を比べたがほとんど差異はない。さらに倍率をあげてみると、胞子の中の油球の姿形が異なり、胞子の両極の様子も異なることがわかる(c, i)。
 油浸対物100倍で見ると両者の違いがはっきりする(d, j)。さらに明瞭に胞子の姿などを捉えられるようにフロキシンで染めてみた(e, k)。さらに、オオシャグマタケの胞子両極の嘴状突起はKOHでいとも簡単に溶けてしまう(l)。
 この両者は検鏡後に炒めて朝食時に食べた。生の時はとても脆いが、熱処理を加えるとコリコリとした食感に変わる。無論毒抜きをしてから調理したが、シャグマの方がオオシャグマより味はずっと上である。どうやら贔屓目ばかりでもなさそうだ。

日( )