2003年7月8日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 去る6日にいわき市四倉のシイタケほだ場で暗青紫色の小さな美しいきのこ(a, b)を採取した。ちょっと見た目にはヒメコンイロイッポンシメジかコキイロウラベニタケのように見える。傘表面は微細な繊維状にも見えるし、鱗片に被われているようにも見える。中央部は凹状になっているものもあれば、尖っているものもあった。ヒダはやや垂生気味の直生から上生(c)。現場で最初に見たとき、これらからヒメコンでもコキイロでもなさそうな気がしていた。
 胞子はお決まりの形をしている(d)。ヒダ切片(e)を切り出して平行な実質(f)を拡大してみたがどこにもクランプは無い。ヒダ先端がモヤモヤしているので(e)、拡大してみると薄膜の縁シスチジア(g, h)だった。側シスチジアはない。担子器が透明で見にくいのでフロキシンで染色して撮影した(i)。この時点では、もしかしてコキイロウラベニタケではあるまいかと考えていた。
 傘表皮を放射状方向に切り出してみた(j)。表面に対して組織の要素がおおむね垂直方向に走っている。そして先端は色素を帯びた嚢状をしている。いわゆるデルム(derm)構造である。てっきり傘表面に対して組織の要素が平行に走っている状態、つまりキュウティス(cutis)構造を想定していたので当てが外れた。この部分にもクランプは無い。この嚢状の組織は液胞状であり淡灰色の色素に満たされている。そして、同時に濃青色の粒状の色素を多数含んでいる。粒状の濃青色の色素は傘表皮のかなり中の方の組織にも含まれている(k, l)。
 いずれにせよヒメコンイロイッポンシメジやコキイロウラベニタケなどと同じくアオエノモミウラタケ亜属のキノコには違いないのだが、ヒメコンでもコキイロでもなく、別種のきのこのようだ。ひどくややこしいデータ処理の急ぎの仕事を抱えているので、今朝はこれ以上の追究をするのはやめにした。これ以降の探索は現地の菌友らにまかせた方がよさそうだ。

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