2003年7月9日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 アカカバイロタケ(a)の胞子(b)はメルツァー液で染めて見るといかにもベニタケ属らしい姿をしている。この仲間のきのこの胞子は、シロハツ類やクサハツ類などごく一部を除くと、みな同じような表面模様をもっている。さらに胞子サイズも似たり寄ったりであり、光学顕微鏡レベルでは差異をとらえるのは難しい。いわゆるドライマウント(水も何も加えずにカバーグラスをかけて観察)の状態で見ると表面に小さな瘤あるいは疣が見える(c, d)。胞子表面に焦点(d)を合わせるとサイズまでかなり小さめに見える。
 切り出したヒダ切片(e)を見ると、実質部はいかにも脆そうな球形細胞の群れからなっている。ヒダの側面には子実層部分に埋没した状態でシスチジアが見られるのだが、水だけでマウントした状態ではわかりにくい(f)。ところが一端メルツァー液を加えるとシスチジアが赤褐色に染まって明瞭になる。一つひとつは子実層からヒダ実質にまで届くほど大きく、ヒダの表面にはわずかしか顔を出していない(g, h)。
 昨日から今朝にかけては特急の仕事にすっかりかかりきりとなってしまい、ほとんど観察らしい観察はできなかった。いま少し納期が欲しい。しかし今のご時世、贅沢は言ってられない。

日( )