2003年7月17日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 ケシボウズタケの仲間が新たに発生し始めた。千葉県の内房の浜を歩いているとケシボウズが1本だけ黄褐色の胞子にまみれた姿をさらしていた(a)。よくみると前年度のミイラではない。砂を掘ってみるとやや赤茶色のササクレを帯びた柔らかな柄が現れた(b)。他にもあるはずだと思って周囲を探してみたが、それらしきものは全くない。
 10数メートル離れた場所にわずかに砂の盛り上がりがみえた。一部にはウサギの糞のような形の盛り上がり方をしている。砂を軽く払いのけ、手前側の砂を少しどけてみるとウサギの糞ではなかった(c)。霧吹きで水洗いしてみるとケシボウズの姿があらわれた(d)。
 頭部の径15〜18mmの子実体がいくつも群がっている(e)。掘り出してみると柄の長さ45〜55mmほどの子実体がでてきた(f)。柄は柔らかだがとてもしっかりしている。砂が丸い塊の集合のようになっている部分がいくつもあった(g)。これはまだ若いケシボウズだった。掘り出してみると頭部の周囲も菌糸に被われている(h)。柄の根元はやや太くなっていて細かな根状菌糸束におおわれている。これらの頂孔部はまだ開いていなかったが、孔口は筒状ではなく繊維質房状である。
 掘り出したものを縦切りしてみると真っ白な柄とまだネバネバしたグレバが現れた(i, j)。頂孔の開いた個体ではグレバは黄色〜黄褐色の粉状になっていた。なおこの切断個体(i)は、切るときに根元部分を誤ってちぎってしまったので、根状菌糸束の部分は失われている。
 帰宅後とりあえず弾糸と胞子を確認し、胞子だけ撮影した(k, l)。表面に焦点をすえたもの(k)と、輪郭部に焦点を定めたもの(l)を掲げた。弾糸、孔口、外皮、内皮、柄などの様子から判断すると、これはナガエノホコリタケ(ナガエノケシボウズタケ)としてよさそうだ。
 しかし7月中頃というこんな早い時期にケシボウズの発生を確認したのは初めてだった。茨城、いわき、静岡、愛知、新潟の海でも出始めているのではあるまいか。

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