2003年8月19日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
 昨年(雑記2002.8.20)に引き続いて今年の日光でもオオカボチャタケ(a, b)がよく出ている。現地で傘表面に10%KOHをたらすと、すぐに濃赤色に変色した。消毒用アンモニアでも同じ現象が見られるが、KOHと比較すると赤変までにやや時間がかかった。分厚い肉部の断面(c)にはまるで年輪のように環紋がみられる。裏面の管孔部(d)から最初に組織を切り出した。
 硬質菌の検鏡では、薄めに切り出した組織片を、とにかくどこまでもほぐしていくことが基本だという。先端を研いでさらに細くした柄付き針2本を使ってほぐした。色々な場所から採取した組織のどこを探しても原菌糸(generative hyphae)しかない。いわゆる一菌糸型(monomitic)である(e)。薄膜の細胞壁の外側には小さな粒子がごみのように付いている。担子器(f)を取り巻く周囲の組織は棍棒状をしている。
 次に厚ぼったい肉部から剃刀で表面をわずかに削いで、同じく徹底的にほぐした。対物40倍でみると比較的大きな粒子が細胞壁の外側に多数付いている(g)。子実層面のそれよりもやや大きく密度も高い(h)。この部分もやはりmonomiticである。傘表皮から肉部、子実層面のいずれも一菌糸型で、大きなクランプが目立つ。硬質菌を検鏡するのは実に久しぶりだった。

日( )