2003年9月4(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
←生標本から
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
←乾燥標本から
 ベニイグチはアカマツ・コナラ林ではよく見られる美しいきのこだ。先日山梨県で採取した個体はその日のうちに検鏡しているが、今朝あらためてそれを乾燥させた標本からプレパラートを作成して両者を比較してみた。写真はそれらの一部である。上段に採取当日生標本から作成したものを、下段に今朝乾燥標本から作成したものを並べてみた。
 ふだんほとんどの切片は採取当日か数日以内に生状態から切り出している。今朝のように乾燥標本からの切り出しは、自分で採取したきのこではめったにやらない。
 胞子に関しては、上段(a, b)は採取当日に胞子紋から採取したもの、下段(e, f)は今朝乾燥標本の管孔部から採取したものである。乾燥標本は戻し処理に5%KOHを使ったせいか、生のものとは色が違っている。生標本からの担子器(d)は、やや厚過ぎた上にフロキシンが濃過ぎたので、影像がよくない。傘表皮(h)は生標本から切り出すのに比較すると非常に楽だった。
 イグチ類は生標本からだと管孔部の切り出しはとても難しい。(c)は管孔部の先端付近を切り出したもので、フロキシンで染めている。縁シスチジアを確認しやすくするため孔口部に斜めに切り出している。このプレパラート1枚を作成するため5〜6回は生標本に剃刀を当てている。(g)は管孔部を、ピスも実体鏡も使わず、剃刀の自重で軽く削って切り出したものだ。側シスチジアや担子器などを確認するにはこの方向で切り出すと楽だ。こちらは一度で楽に切り出せた。

日( )