2003年9月25日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日の影像にさらにいくつか追加しておこう。コウボウフデの幼菌基本体の顕微鏡下の姿である。右の3枚はフロキシンで染色したものだ。ここでは胞子を包む膜をとりあえず仮に以下「子嚢」と記述することにする。それぞれの子嚢には8つの胞子が入っている。若い胞子はまだ平滑な球形をしている。作成したプレパラートを30分ほど放置しておいたら、子嚢の半分ほどは消失していた。また、ライターなどで急激に熱を加えると、子嚢はたちまち消失してしまった。エタノールや5%KOHでマウントしたものも短時間のうちに子嚢を失ってしまった。
 まだ子実体が地表に姿を見せる前に採取した幼菌では、グレバは緑褐色と白の霜降り模様を呈し、子嚢に入った胞子を観察できる。しかし昨年、子実体が地表に多数あらわれる頃に地下から掘り出した幼菌では、その内部はほとんど緑褐色であった。そこには胞子と分岐する薄膜の組織、そして弾糸の姿しかなく、子嚢の痕跡は全くみられなかった。
 昨年のことだが、冷蔵庫などで保存した幼菌は、翌日になると内部は完全に緑褐色一色になってしまった。冷蔵庫の中でも成長を続け、子嚢はすっかり消失してしまった。分岐する薄膜の組織も消失していた。未熟胞子はそのままの状態でバラバラになっていた。
 今朝冷蔵庫から出して検鏡したところ、まだ写真(c)のような状態が維持されていた。この分だと、まだ数日は子嚢が消失せずに残っているだろう。

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