2003年10月4日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
柄無し径4〜6mm
 
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
水でマウント
 
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
メルツァーで染色
 
 9月28日の観察会の折に宿題となってしまった二つ目の子嚢菌を検鏡した。ほんとうは同定作業はやりたくなかったのだが、引き受けてしまったから仕方ない。子実体の径は4〜6mmほどで柄はない。一見したところアラゲコベニチャワンタケなどにもよく似ている(a, b)。子嚢盤の縁にはわずかに短い毛がある(c)。
 切り出した切片を見ると、側糸には色素を帯びた粒子が満ちている。子実下層は円形菌組織からなっている。やや倍率を上げてみると側糸には隔壁があり、胞子表面には疣があるようにもみえる(e)。しかしこれは表面の疣ではなく内部の油球のようにもみえる。さらに倍率を上げると子嚢先端は膜がやや肥厚している。胞子表面には背丈の低い小さな疣があり、無数の油球を持っていることがはっきりする(f)。
 メルツァーで染めると紫褐色に変色した(g)。特に側糸の色素が強く反応する(h)。子嚢先端や胞子は非アミロイドで色の変化はほとんどない(i)。
 子嚢が非アミロイドであるからチャワンタケ科ではなくピロネマキン科に属する菌だろう。胞子表面に網目状の模様がないからベニサラタケではない。長い剛毛を持たず側糸がアミロイドであることなどからアラゲコベニチャワンタケ(Scutellinia scutellata)ではない。しかし、Scutellinia sp.としてよいのではあるまいか。
 やっと宿題が片付いた。報告文はメールで出したし事務局からは叱られずにすむ。安心して温泉旅行にでかけられる。ネット環境のないところに行くので、明日の雑記は休みである。

日( )