2003年10月8日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 先日栃木県龍王峡の遊歩道で採取したイタチナミハタケを検鏡した。このきのこは外見こそ軟質菌だが、顕微鏡下の姿は硬質菌のそれである。
 ヒダ切片(a)を切り出し、倍率をあげてみるとヒダ実質部が妙な構造をしている(b)。あらためてメルツァーで染めてみると、胞子と実質部がアミロイド反応を示した(c)。倍率を上げると絡み合った組織が強いアミロイド反応を示している(d)。さらに倍率を上げるとヒダ実質部のすべてではなくアミロイド反応を示す菌糸組織がある(e)。子実層の部分を見ると担子器などはメルツァーには反応しない(f)。明らかにヒダ実質部は複数の異質の菌糸組織からなっている。
 新たに切り出した切片をフロキシンで染めて5%KOHでマウントすると、カバーグラスの重みで組織が崩れ、子実層と実質部の一部がピンクに染まった(g)。倍率を上げてみると、先ほどメルツァーで染まらなかった部分がピンクに染まっている。消しゴムでほぐして見ると2菌糸型の構造をしている(i)。細長い担子器も一緒にほぐされていた(j)。原菌糸にはクランプがある(k)。胞子紋は白色、胞子はアミロイドで表面に微細な疣がある(l)。

日( )