2003年11月5日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 千葉県房総から成熟したマユハキタケ(a)ひとつと半未熟状態の個体を持ち帰ったが、今朝それを覗いてみた。調べてみたのは半未熟状態の方である。これまでみてきた若い菌の姿とは何となく違う雰囲気が漂っていた。もしかしたらアナモルフ(無性時代)とテレオモルフ(有性時代)が混在しているからではあるまいかという、甘い期待を抱いてのことだった。
 アルコールでマウントして、最初に子嚢が残っていないかどどうかを探った。ところどころに消失性の子嚢が残っていた(b)。次に3%KOHでマウントしたものを作り胞子表面の模様を確認した(c)。さらに別のプレパラートを作りフロキシンで染めると胞子表面の模様がさらに明確に捉えられるようになった(c)。よくみると小さな紡錘型の細胞のようなものが見える。分生子のようである。
 あらためて、菌糸層の一部を取り出してよくみると、あちこちに分生子柄が見られた(e, f)。アナモルフにみられる独特の美しい姿である。カキノミタケ分生子柄よりやや小型で、アオカビの姿を髣髴とさせる。ラセン状の隆起に囲まれた卵型の胞子といい、分生子柄の姿、分生子の形といい、Talaromyces luteusのそれとそっくりである。予測どおりアナモルフとテレオモルフが一個体に同居したものだった。

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