2004年1月27日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 クチベニタケの仲間(Calostoma)はCapillitiumが無く、幼菌においてParacapillitiumが見られるのが特徴とされる。つまり、幼菌のグレバ内部の毛状の菌糸壁はコットンブルーでは染まらないことになる。そこで昨年10月4日に鬼怒川で採取した若い菌を観察してみた。採取から3ヶ月強経過した乾燥標本(a)は、頭部の皮膜(mesoperidium)がとても硬くて、蟹の甲羅のようである。割ってみると内皮は縮んでとても小さくなり、頭部はほとんど空洞と化している(b)。
 最初にKOHでマウントすると透明な厚壁の組織が見える(c)。ちょっと見たところcapillitiumのようである。次にKOHを洗い流してコットンブルーを注ぎ、1時間ほど放置してから再び観察した(d)。菌糸壁は全く染まっていない。さらにライターで煮える直前まで熱してみた。低倍率で見ると、胞子がすっかり青くなり、菌糸組織の壁も青く染まったかのように見える(e)。しかし倍率を上げてみると、染まっていたのは内腔(lumen)の部分だけであり、菌糸壁は全く染まっていない。内部にコットンブルーが浸透したために、クランプの存在も非常にわかりやすくなった。

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