2004年6月4日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 先にベニサラタケと同定(5/30)したチャワンタケについての補足メモ。チャワンタケの検索表をたどっていくとピロネマキン科まではごく自然にたどりつく。次にピロネマキン科の検索表をたどっていくと、胞子の乳酸反応によって大きく分岐する部分に突き当たる。
 胞子の外膜が熱乳酸液中でふくれて遊離するか否かである。ここで外膜が遊離するとベニサラタケ属(Melastiza)ではなく、Cheilymenia属の方に落ちる。だから、正確な同定には熱乳酸液中での反応のチェックが欠かせない。雑記5月30日を記したときは乳酸が手元になかったので、乳酸反応検査をすることができなかった。数日前に注文しておいた乳酸が届いた。
 今朝は熱乳酸液に子嚢胞子を落とし込んでやや放置してから検鏡した(a〜f)。胞子表面から輪郭部まで焦点位置を変えて撮影した。結果は、胞子外膜が膨れることもなく、外膜が遊離することもなかった。したがって先日のチャワンタケはMelastiza属にまちがいない。なお、写真(a, b)は子実層の一部を摂氏60〜80度の90%乳酸液に7〜8分間ひたした後作成したプレパラートだが、透明でとても見にくい。そこでフロキシンで着色処理してから同じように熱乳酸液処理を施して作成したプレパラートが(c)〜(f)だ。ずっと見やすくなっている。色や形が似ているアラゲコベニチャワンタケは、胞子の熱乳酸反応を試みると外膜が膨らみ遊離する。

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