2004年10月10日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
 先日、日光で大型のチャコブタケ属 Daldinia を採取した。長径50mmを越える茶色の塊で(a)、現地で切断すると同心円状の環紋が並んでいる(b)。何となく気になったので、今朝改めて別の個体を切断してみた(c)。髄層の内部に多数の空洞がある(d)。ルーペで見るとまるで子嚢殼の痕跡のようだ(e)。チャコブタケにしては内部髄層に孔が多すぎる。保育社「原色日本新菌類図鑑」でツボミタケという菌について触れている。「子座の髄が熟後に空洞化することで区別される」とある(II,.p281)。しかし、それ以上の記述はない。
 外皮層表面をよくみると茶色の中に黒色の微穴が多数みられる(f)。子座に開いた胞子の噴出孔である。切断面をみるとこれは明瞭である(g)。外皮層直下にある子嚢殼の中には多数の子嚢がみられる。(h)。子嚢は薄く透明である(i)。先端のアミロイドリングはクロサイワイタケ科を特徴づける(j)。アナモルフはNodulisporiumとされるが、Nodulisporiumのテレオモルフにはクロコブタケ属もある。クロコブタケ属ならばKOH液による色素抽出の確認が必要となる。
 今日明日の2日間、千葉県清澄にある東大演習林で行われる観察会に参加する。日本菌学会関東支部と千葉菌類談話会との共催である。したがって、明日の雑記はお休みである。

日( )