2004年11月15日(月)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日の早朝さいたま市の秋が瀬公園に行ってみた。先の台風による大雨と冠水の痛手が大きかったのか、相変わらずきのこの姿は非常に少ない。それでも、キクラゲの仲間、テングタケ属、ナヨタケ属、ホコリタケ属、硬質菌はみられた。
 遠くから見てムジナタケのように見えるきのこがあった(a〜c)。しかし傘表皮は比較的なめらかで繊維状の鱗片はない(b)。傘裏にはクモの巣状の被膜に被われている(c)。
 ヒダを切り出してみると実質は並行型、側シスチジアと縁シスチジアをもち、いずれも同じようなスリコギ形をしている(d, e)。水でマウントしたままで担子器(f)、胞子(g)などをみた。傘表皮は子実層状被ではなく、並行に菌糸が走っている(h)。

 担子器のサイズを計測したり、基部のクランプを確認するにはいろいろなやりかたがあろう。ふだんは、担子器の基部のクランプ(basal clamp)は観察するだけで、ほとんど撮影はしない。正確な記載を必要とする場合とか、何かに投稿する場合には撮影することがある。要は、担子器を潰さず、重ならずにバラバラにしてしまえばよい。今朝はその過程を撮影してみた。
 やや濃いめのKOH(5〜10%)でプレパラートを作成する。なるべく薄い切片を作ると作業が楽である。組織が脱色されて透明になってしまうことが多いので、KOHにはフロキシンを溶いておくとよい(i)。次にカバーグラスの上から軽い圧を加える。この作業は顕微鏡のステージの上にプレパラートを載せたまま、枝付き針の針先を使って行っている。
 ポイントは一度に強く押しつけるのではなく、数回に分けて少しずつ圧を加えることだ。対物20〜40倍の低倍率で覗きながらやると確実だ。すると重なり合った部分の担子器やシスチジアなどが飛び出してくる(j)。強すぎると組織を潰してしまう。あとは観察に適した担子器をみつけ、倍率を上げて観察すればよい(k, l)。合掌位置を変えて担子器の基部に焦点を合わせれば、basal clamp の有無などを確認することができる。

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