2005年11月18日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 9月22日に埼玉県三芳町で採集したチチタケはその日の内に乾燥機にかけた。一般に乾燥標本にすると、生の姿とはかなり変わる。でも、チチタケは乾燥標本からも生の状態を想像できる程度の変化しかない。今朝はその乾燥品からミクロの姿を観察してみた。
 胞子だけはスライドグラスにとった胞子紋を使った。まず最初にドライマウントでみた(a, b)。次に、水でマウント(c, d)。最後にメルツァーで染めてみた(e, f)。それぞれ、表面に合焦(a, c, e)、輪郭部に合焦(b, d, f)したものを並べた。メルツァーは突起部を実に鮮やかに染色する。
 乾燥標本は切り出しが実に楽である。最初にヒダを一枚指先で摘んで、カミソリで直接表面を削いだ。多数の厚膜シスチジアが見られる(g)。フロキシンで染めてヒダ先端部を見ると、実に多くの縁シスチジアがあることがわかる(h)。傘表皮にも大きさはやや小振りだが同じような形の傘シスチジアがみられる(i)。縁シスチジアをひとつ拡大してみた(j)。担子器を基部まで分かるように撮影したが(k)、中にはとても長い担子柄をもったものもある(l)。
 美しい胞子模様、ヒダや傘表皮の興味深いシスチジア。チチタケは、そのまま調理して食べてしまうには、あまりにも惜しいきのこである。なお、生状態からの切片などは雑記2005.7.4で取り上げている。切片切り出しは難しいが、生状態で観察した時の方が情報量が多い。

日( )
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