2006年11月23日()
 
簡易ミクロトーム (3)
 
 ここ何日かの間、薄片作成には、もっぱら池田製と注射器ベース(a)の簡易ミクロトームを使った。きのこがないので、多くはコケの葉の横断切片作成で使った(こけの部屋)。
 
 
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ここでは、いんたん池田製簡易ミクロトームから離れて、使い捨て注射器を使った簡易ミクロトームについて再考察してみる。使い捨てのポリプロピレン製注射器には、いろいろなサイズがあるが、ミクロトームとして適しているのは、2.5ml、5.0mlあたりとなる。
 長崎の中学校理科教師らによるサイトで紹介している簡易ミクロトームは、10mlのポリプロピレン製注射器を利用しているが、シリンダーの内径がやや太すぎるように思える。得やすいピスの径を考えると、2.5mlないし5.0mlの注射器を使う方がよさそうだ。
 上記サイトで紹介しているものは、ピストン部の底に釘を4本つける。ピスのブレを防止するためだ。2.5mlや5.0mlの注射器を使う場合は、虫ピンを2本つけるだけで絶大な効果がある(b)。何らかの固定なしだと、カミソリをあてたときに、ピスがぶれやすい。
 ポリプロピレンは柔らかいので、ピストン底部に針などつけずとも、シリンダー部の側面から虫ピンを刺すだけで固定効果は大きい。ブレも防いでピストンも動かしたければ、シリンダーに縦の切れ目を入れるとよい(c)。ここに虫ピンを刺せば、ピストンは上下する(d, e)。
 両刃カミソリをそのままあてると、柔らかいため湾曲してピスを抉ってしまう。こうなると薄切りはできない。そこで、簡単には曲がらない刃物を使う必要がある。硬めの片刃カミソリを使うなり、柄のついた安全剃刀を使うとよい(f)。写真の物は100円ショップで5本100円の製品だ。

 注射器利用の簡易ミクロトームは、誰にでもすぐ作れて、安価であり、ピスを手持ちで切るよりはるかに楽に切片を切り出すことができる。ポリプロピレンを切ったり、縦のスリットを入れるには、カッターを熱してあてれば力は全くいらない。
 この簡易ミクロトームを使用する場合の、最大のポイントはピストンの繰り出し量の調整であろう。シリンダーに書かれた目盛はひとつが1.6mもあるので、目安にはならない。ピストンを少し押したら、ピスの出っ張りを指先で確認することが必要だ。慣れると、平滑なのか20〜30μm出っ張っているのかは、比較的楽に分かるようになる。


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