2006年12月15日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 このところきのこがないので、顕微鏡はもっぱらコケ専用になってしまっていた。冷蔵庫をふと見ると、先日埼玉県名栗村で採取したツネノチャダイゴケが紙袋の中ですっかり干からびていた。ペリジオールについているへその緒も細い紙紐のような状態になっている(a)。
 保育社『原色新日本菌類図鑑』にはツネノチャダイゴケの担子器のことには触れていない。伊藤誠哉著『日本菌類誌』2巻5号には、「担子柄は長棍棒形,幅約3.7μm,細長の2−4小柄を生じ胞子を着く」(p.534)とある。一方、ハタケチャダイゴケの担子器については「担子柄は棍棒形,先端膨大,4−8胞子を先端に近き部に輪生す」(p.537)とある。両者の担子器の形と胞子の付き方・数はかなり異なるように読みとれる。
 ハタケチャダイゴケの担子器は2006.6.27の雑記でとりあげた。確かに胞子が膨大した先端に輪生している。それに対して、ツネノチャダイゴケの担子器はこれまでみたことがなかった。一度は見たいと思っていたが、なかなか確認するチャンスがなかった。
 そこで、今朝はツネノチャダイゴケの担子器の確認を重点的に顕微鏡で覗いてみた。担子柄を2つから4つ持ったものが多いが、3つしかないもの、1つしかないものもかなりある(b〜f)。中には柄がほとんどなく、担子器の先端に胞子が直接着いたようなものもあるなお、胞子の大きさにはかなり変異が大きい。ペリジオールの硬い殼皮は褐色で厚壁の骨格菌糸からできている。原菌糸には明瞭なクランプが多数みられる。

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