2007年2月6日(火)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 ピスとカミソリだけを使って超薄切片を作れる人はいるかもしれない。しかし、ちょっとした小道具を使って同じようなことが可能であれば、職人芸的な技能の修得に時間を費やす必要などないと思う。使い勝手のよい簡易ミクロトームを利用すればよい。
 これまで何度か簡易ミクロトームを取りあげてきた(「簡易ミクロトームのこと」)。そこで何度か池田製ミクロトームを紹介した(a下, f)。これは故池田和加男氏が、マイクロメータベースと金属筒を組み合わせて、手作りで20台ほど作成したもので、非常に使い勝手のよいものだった。

 池田製ミクロトームは現在ではもはや入手不可能だが、現在新たな簡易ミクロトームが試作段階にある(a上, b左)。これを試用する機会を得たので、簡単に紹介しておこう。池田製より若干大きめで、非常に精巧にできている。手に取った感触は芸術品といった趣がある。
 池田製の最大の欠点はピスの固定方式にあった(b)。試作品ではV字型のピス押さえ金具と精密ネジで押さえ圧を微調整できる(c, d)。これは池田製の欠点を完全に払拭している。試作品では、孔径の異なる天版と交換できるようになっていたが(e)、製品版ではこれはどうなるかわからない。手に取った重さも適切で、スムーズにカットできる。
 今の時期、生きのこは少ないので、蘚類の葉の横断切片を切り出した。厚さ15〜20μm程度のものが楽に切り出せた。ピス固定が適度な圧で安定してなされているので、試料の送り出しが非常にスムーズであった。現在、安定してきのこを切り出せるよう改良作業中である。
 製品版ができあがったら、再びこの場で紹介して、取扱い先なども記すことにしたい。ただ、大量生産される品物ではなく、あくまでも一台一台手作りとなるので、注文から入手までに多少の時間が必要となるだろう。いまは、完成が待ちどおしい。


日( )
HOME