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菅平で行われた日本菌学会関東支部の観察会に出かける前に、所沢市の雑木林で赤みを帯びた傘を持ったハラタケ科の小形菌を採取した(a, b)。紙袋に容れたまま、冷蔵庫の野菜ケースに保管しておいた。今朝開けてみると、かろうじて採取時の形態を保っていた。 |
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30分ほどで白色の胞子紋が落ちた。胞子をドライで見たのち、水(c)とメルツァー(d)で封入してみた。強い偽アミロイド反応で胞子が黒褐色になる。これをエタノールで洗って再度確認してみた(e)。卵形〜レモン形の楕円形で、長さ7〜9μm、幅4〜5μm、発芽孔らしきものが見える。 ヒダを1枚つまんで、そのままスライドグラスに寝かせ、水で封入して縁をみた。縁シスチジアらしきものがあるので、フロキシンを加えて倍率を上げてみた(f)。あらためて、ヒダを数枚切り出して(g)、先端をみると棍棒状のシスチジアがある(h)。ヒダ実質は並列型(i)。 ピンセットでつまみ出したヒダの一部をフロキシンで染めて3%KOHで封入して軽く押し潰した。縁シスチジアの基部の様子やサイズなどがよく分かる(j)。最後に傘の表皮を切りだして水で封入した。色素顆粒を帯びた菌糸が匍匐状にはっている(k)。同じく傘表皮を3%KOHで封入すると、色素顆粒の色はすっかり脱色してしまった(l)。 ハラタケ科の検索表をたどるまでもなく、アカキツネガサ Leucoagaricus rubrotinctus のようだ。この和名は、川村清一が原色日本菌類図鑑(Icons of Japanese Fungi)第四巻で Lepiota japonica Kawamu. sp. nov. として記したことによる。学名は無効名のようだ。 本来ならば、標本番号を与え、乾燥標本にして残し、採集データ、観察記録とともに残しておくことが推奨される。アマチュア研究者なら皆そうしている。しかし、今朝もまた、観察を終えた個体は標本にはせずに、そのまま台所の生ゴミとして捨てた。 |
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