2007年9月20日(木)
 
きのこの基本書
 
 きのこの分類に関わる基本概念など、基礎的なことを学ぼうとすると、残念ながら日本語で書かれたものはほとんどない。海外ではいくつもの名著が知られている。最近の新しい学説に基づいた分類を反映してはいないが、"HOW TO IDENTIFY MUSHROOMS TO GINES" シリーズ4冊、そして、腹菌類に特化した "GASTEROMYCETES Morphological and Development Features" はあまりにも有名だ。中学〜高校の英語の知識で読めるのもありがたい。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
(e)
(f)
(f)
 いっぽう、アメリカの関係者によれば、"HOW TO ...." シリーズは詳細過ぎて初心者には難しいという。では、彼らのお薦め本は何かというと、David Arora "Mushrooms Demystified" だという。国立科学博物館の細矢博士も同意見を述べられている。960ページに及ぶこの大部の書は、きのこの分類について学ぶには第一級の良書だという。
 そこで、あらためて手元の "Mushrooms Demystified" と "HOW TO IDENTIFY" シリーズの両者を比較してみた(a, b)。両者とも基礎概念、科への検索表、科の基礎概念、属への検索表、属の基礎概念、等々については明解かつ詳細に記されている。
 "Demystified" で取りあげるのはアメリカとカナダの種だが、いわば、"HOW TO ...." シリーズと保育社の図鑑をまとめて1冊にしたような内容となっている。これまでは、あまりていねいに読んだことはなかったが、あらためて眺めてみると、確かに良い本だ。個々の科を開くと詳しい検索表に続いて、種の詳細な記載がある(c〜d)。カラーページも綺麗だ(e)。
 第2版の出版は1986年。きのこの基本書としてはベストセラーの一つらしく、裏面に$39.95とある。ネット上でちょっと検索しても、この書についての評価したサイトやら販売サイトが、すぐに出てきた(f)。この内容で5,000円以下は非常に安いと思う。

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