2007年9月26日(水)
 
傘表皮の構造
 
 先日秋ヶ瀬公園から持ち帰ったキツネノカラカサ属(a)が冷蔵庫の野菜ケースに放置されていたので、これを覗いてみた。採取から何日も経過している割には、比較的良い状態で保たれていた(b, c)。直感的にはワタカラカサタケではあるまいかと思っていた。
 胞子紋は白色、胞子は強い偽アミロイド(d, e)で狭い紡錘形、18〜20 × 5〜6μm。ヒダを一枚取り外して、適当なサイズに切って、フロキシンで染めてスライドグラスに寝かせた(f)。縁シスチジアは棍棒状(g)。形態とミクロの構造は、ワタカラカサタケを示唆している。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 もし、ワタカラカサタケであるとすれば、傘表皮の構造をあらためて確認したいと思っていた。ワタカラカサタケの「傘表皮は柵状」と書かれた図鑑が多い。しかし、これまでワタカラカサタケだと思ってきたきのこの多くは、傘表皮が柵状組織ではなかった。
 最初に傘の中心と縁との中程の表皮を見た(i, j)。表皮は菌糸が横に這っている。次に傘中央部の濃色の部分の表皮を見た(k, l)。これをみると、密集した柵状に見える。傘中央部のごく一部だけしか柵状の表皮は見られない。ワタカラカサタケであれば傘表皮の大部分が柵状なのだろうか。そうであれば、これはワタカラカサタケに似ている別種のきのこということか。

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