2009年7月9日(木)
 
縁シスチジアの姿が楽しい
 
 パソコンは相変わらず駄目。Acronis True Image で定期的にバックアップしておいたシステムも復元できなかった。Acronis で復旧できなかったのは初めてのことだった。メインパソコンを購入したのが2004年8月だから、あしかけ5年ほど使い続けたことになる。ハードディスクを取り外してバラしたのち、金属ゴミとして処分するしかないようだ。
 やむなく、2007年12月に購入した "できの悪い Vista パソコン" を引っ張り出した。捨てないで保管しておいたことが役立ちそうだ。とりあえず、当面はこのパソコンで環境を整えてメインに使うしかないようだ。気が重いがしかたない。今朝は Vista パソコンからアップした。

 先日採集したミズゴケタケを覗いて楽しんだ。採集できたのは小さな個体4つだけで、そのうちカサ径2cmほどの最も大きな個体はすでにグズグズに崩れていた。比較的しっかりしていたのは、カサ径1cmほどのものだった。観察にはおもにこの個体を用いることにした(a)。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a) カサと柄の上部、(b) ミズゴケの茎の途中から出る、(c) カサの断面、(d) 胞子、(e) カサとヒダの横断面、(f) ヒダの横断面、(g) ヒダの縁、(h) 縁シスチジア、(i) カサ表皮、(j) ミズゴケの茎の表皮細胞、(k) ミズゴケの枝葉横断面、(l) ミズゴケの枝葉細胞背面

 きのこはミズゴケの茎の中ほどから長い柄を伸ばし(b)、ミズゴケの頭部より高い位置に柄の上部とカサをさらす。胞子には微疣がある(d)。カサと一緒にヒダをまとめて切ってみた(e)。どうやら側シスチジアはなさそうだ。ヒダの先端付近をみると縁シスチジアがあり、ヒダ実質は並列型(f)。ヒダを1枚スライドグラスに寝かせて縁をみると透明な縁シスチジアが多数ある(g)。そのまま、フロキシンを加えて押しつぶすと縁シスチジアの形が明瞭に捉えられた(h)。カサ表皮は、菌糸が匍匐気味に走り、所々で小さな束となって立ち上がっている(i)。

 宿主のミズゴケは肉眼的特長からはオオミズゴケと思えた。念のために、ポイントだけ検鏡して確認した。茎の表皮細胞に螺旋状の肥厚がある(j)。したがって、ミズゴケ節 Sect. Spagnum に間違いない。ついで、枝葉の横断面をみると、葉緑細胞がほぼ二等辺三角形で腹面側により広く開き、透明細胞との境目は平滑だ(k)。この時点で、候補として残るのはオオミズゴケとニセオオミズゴケだけとなる。ついで、枝葉背面の葉身細胞をみると、穴は1細胞あたり10〜20もない(l)。これらを根拠にオオミズゴケ Sphagnum palustre であると同定した。


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