2009年8月27日(木)
 
乾燥して持ち帰った方が・・・
 
 日本菌学会・同東北支部・菌類懇話会共催による「安比高原フォーレ」の申込み締切日が9月18日(金)に延期された。しまったと思っていた方も慌てずに申込みができることと思う。

 8月24日に白馬岳北西面で採集したミヤマイロガワリ(とおぼしききのこ)は、持ち帰って紙袋を開くと、2個体のうち一つは完全にグズグズになって虫と汁にまみれていた。残りのひとつは何とか検鏡に耐えると思えたので、カバーグラスに管孔部の一部を伏せて数時間放置した。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 カバーグラスに落ちたのは大部分が線虫とウジ虫だった。したがって、胞子をきれいな状態で撮影することはできなかった(a)。だましだまし管孔部実質を切り出してみた(b)。ズルッと崩れてとても切りにくい。場所を選ぶと何とかヤマドリタケ亜型(散開型)を確認できた。管孔側面を見ると紡錘形のシスチジアも見える(d)。
 フロキシンを加えてKOHを流し込むと、全体が崩れてしまったが、散開型はより鮮明になった(e)。そのままカバーグラスの上から力を加えて押しつぶして組織をばらした。シスチジアにはアルカリで黄金色になるものもあった(g)。縁シスチジアも側シスチジアもほぼ同じだった(f, h)。
 管孔部を横断面で切った。最初はやや厚すぎ(i)、次は薄すぎた(j)。シスチジアをよけて切ってしまったのか、拡大しても側シスチジアを鮮明には捉えられなかった(k)。カサ表皮を観察するころには(l)、腐敗はさらに進んでいた。採集したその日に現地で乾燥してしまった方が、観察はずっと楽だったろう。きのこは7〜8個に縦断して乾燥機に放り込んだ。

日( )
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