2009年9月7日(月)
 
ささやかな毒:ベニテングタケ
 
 富士山で採集したベニテングタケを覗いてみた。やがてツバとなって残る内被膜は、幼時ヒダにベッタリと張りついている(d)。やがて離れるがこの段階でヒダの先端には内被膜の残滓が付着する。これが後に縁シスチジアのようにみえることになる。成菌になってもツバはとても繊細でもろく、風や衝撃で簡単に落ちてしまう。
 いつもと趣向をかえてカサ表皮から検鏡してみた。菌糸が平行に走っている(f)。カサ表面の白い疣は外被膜の名残で、ツボの表面に残る組織と同じ構造をしている。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 胞子は非アミロイド(g, h)。ヒダの横断面を切り出してフロキシンでそめると(i, j)、ヒダ実質の散開型が明瞭に捉えられた(k)。担子器もとりあえず撮影した(l)。

 ベニテングタケは毒茸とされるが毒性は微弱らしく、人によってはほとんど何の症状もでない。また、とてもよい出汁が出ることでも知られている。これまでも日常的に採集してきたベニテングタケは泥を払い落として、そのまま冷蔵庫に保管し、随時出汁用に利用してきた。でも、たいていは最後に処分せずにそのまま調理して食べてきた。


日( )
HOME