2009年9月27日()
 
ベニヒガサではなかった
 
 会津で採集した紅色のアカヤマタケ属菌は Hygrocybe cantharellus だろうと思っていた(ベニヒガサとアカヌマベニタケの和名を逆に覚えていたので、現地ではアカヌマベニタケと仮同定していた)。ヒダは柄に長く下延した垂生で、切ると赤い汁をだし変色性はない(b)。
 ヒダは脆くボテッと厚いので、切片は幅広い。スライドグラスのひっかき傷がもろにいくつも写っている(b)。傷の少ない部分を選んでフロキシンで染めた(c)。子実層を覗くとなんとなく担子器に大小ある(d)。わかりにくいので、KOHで封入して押しつぶしてみた。確かに大小の担子器が入り交じり、未成熟の胞子をつけたものもある(e)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 帰宅直後に採取した胞子紋を覗いてみた(f)。胞子には大小二種の胞子が混じっている。落下胞子から採取した胞子紋を覗いているので、未成熟胞子が多量に混入したわけではなさそうだ。どこをみても大小の胞子の割合が一定しているからコンタミの可能性もない。
 どうやらネッタイベニヒガサらしい。先月初めにも福島県土湯付近で同じようなきのこを採集している(雑記2009.8.4)。それにしても、大小二種の担子器が同一視野に存在する場所を探すのは骨が折れる。しかも、そこにスライドグラスの傷がない場所はさらに少なかった。

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