2009年10月3日()
 
ブナシメジ:カサ表皮の怪
 
 ブナシメジにどの学名を当てるのかは微妙な問題があるようだ。若いときや成菌のカサ表面には大理石模様が現れるとされるが(a, c)、全く平滑で模様のみられない個体も多い(d, e)。特にカサ径15cmを超える大形タイプでは、大理石模様がないほうが普通らしい(e)。
 胞子は透明でとても小さい(f)。今朝は大理石模様のあるタイプとないタイプの両者を比較しながらみた。充分成熟していたのだが、いずれも胞子紋はほとんど落ちなかった。ヒダの菌糸は類並列形だがとても細い(g, h)。いたるところにクランプがある(i)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 カサ表皮には平滑な菌糸とそうでない菌糸がみられる。平滑でない菌糸は、ちょっと見たところ、表面に色素顆粒が付着したかのように見える(k)。合焦位置をかえながらこの菌糸をよくみると、紐の周りに細い糸を螺旋状に巻きつけたような姿をしている(l)。大理石模様のないタイプではこの手の菌糸は少ない。微分干渉顕微鏡だと螺旋模様が鮮明に見える。

 今日と明日は、筑波山で行われる日本菌学会関東支部の観察会。高速道路は使わないので午前中には出発せねばならない。


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