2009年10月21日(水)
 
サケツバタケ:2つのシスチジア
 
 初心者のための和文論文執筆講座−日菌報に日本新産種を書こう− 2010年1月16日(土)〜17日(日) [幼菌の会・菌類懇話会共催・日本菌学会協賛] の申込締切日10月30日が近づいた。一流の講師によるゼミ形式の講座で、まだ若干のゆとりがあるという。数少ないチャンスだといえよう。きのこに関心を持つ意欲ある方は是非とも参加してはどうだろうか(cf: 日本菌学会→集会・イベント情報→日本菌学会イベント情報)。

 先日採取したサケツバタケはそのまま冷蔵庫に放り込んであった。今朝このきのこを検鏡して遊んだ。胞子紋は紫褐色、胞子は水封では紫色だが(b)、3%KOHでは淡茶褐色(c)、これに濃硫酸を加えると紫褐色になった(d)。
 ヒダ切片を切り出して(e)、ヒダ実質をみると類並列型(f)、ヒダの縁には2種類の縁シスチジアがあり(g, h)、紡錘形のシスチジアは側にもある(i)。担子器の基部にはクランプを持ったものがある。カサ表皮は色素を帯びた菌糸が匍匐している(k)。カサ表皮ばかりではなく、カサ肉やヒダ実質にもクランプがある(l)。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 サケツバタケは検鏡するまでもなく、目視ですぐに同定できるきのこだから、いちいち検鏡する好き者はほとんどいない。縁シスチジアに2種類があることや、側シスチジアは紡錘形のものだけであること、などを確認したことのある人は少ないんじゃあないかなぁ。

日( )
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