2009年12月2日(水)
 
やはりミズゴケ節ばかり
 
 今年は初夏から晩秋まで湿原・湿地を求めてよく歩いた。主たる関心事はミズゴケから出るきのこだったが、あらためて図鑑類には掲載されていないきのこがいかに多いかを知らされた。もっとも、身近に毎年いつも見ているにもかかわらず未だに名無し(未記載種、未報告種)の多いきのこのこと、ミズゴケから出るきのこが知られていなくてもいっこうに不思議はない。
 雑記2009.10.5で、ミズゴケから出るきのこについて感想を記した。その後今日までにさらに50数点のきのことその宿主たるミズゴケを採取した。きのこは属レベルまでの同定は既に終えていたが、つい最近になってようやく採取したミズゴケの同定も完了した。きのこの側からみると、圧倒的に多かったのはケコガサタケ属 Galerina とアカヤマタケ属 Hygrocybe だった。一方、ミズゴケの側からは宿主はすべてミズゴケ節 Sect. Sphagnum のものだった。他の6つの節から出るきのこにはお目にかかれなかった。なぜなのか、今はまだ考証できる段階ではない。
 ミズゴケの仲間は枝葉の細胞の大部分が透明細胞からなり、それらの間に葉緑細胞が網の目状に配置されている。透明細胞は多量の水や空気を含むことができ、著しい貯水性と通気性をもっている。さらにミズゴケ節の仲間では、茎や枝の表皮細胞が大型透明で表面に螺旋状の肥厚がある。他の節のミズゴケにはこれはない。

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