2010年5月15日(金)
 
切片作りの練習
 
 フミヅキタケがあちこちで見られるようになってきた。狭山湖畔の緑地には幼菌から成菌まで一通りそろっている(a, c)。材の樹皮の下でひしゃげた姿をしたものもあった(b)。胞子には明瞭な発芽孔がある(d)。封入液を多めにして胞子を泳がせると発芽孔が上に向く(e)。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると、のう状の縁シスチジアが見える(f)。
 これから先が切片作りの練習。まずヒダ切片を切り出して縁を染料で染めてみた(g)。縁にも側にもシスチジアがある。倍率を上げて縁シスチジアに合焦したら側シスチジアがボケた(h)。一枚の画像で両シスチジアを撮影しようと思ったら、もう少し薄く切らねばならない。しかし、観察のためや同定のためであれば、なにも薄く切る必要など全くない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 あらためてコンゴーレッドで組織を染めてKOHで封入して軽く押し潰した。縁シスチジア(i)、側シスチジア(j)の姿が明瞭に捉えられる。担子器の基部にクランプはない(k)。切片作りが大切なのはカサ表皮の観察だ。フミヅキタケのカサでは、薄膜で類球形の細胞が集積している(l)。カサ肉や柄の組織にはクランプがある。切り出し練習はここまで。

 今日はこれから富士山合宿。科博主催のコケと地衣の観察会に参加するので、早朝出発することになる。集合時刻の昼前までは、キノコも観察できるかもしれない。


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