2010年8月14日()
 
珍しいことをした!
 
 ふだんやらないことをいくつかやってみた。素材は先日の日光で採取したチチタケ属(a, b)。

  1. フィールド写真以外のすべてにスケールをいれた
  2. 標本の撮影をした(c, d)
  3. 画像の説明を詳細にいれた
 きのこはヒメチチタケ節 Sect. Russulares のもので、チョウジチチタケやニオイワチチタケなどの仲間。カサ表皮には軽い粘性があり、菌臭以外の香りはほとんどない。ヒダが垂生気味ではなく、柄基部の毛も黄色みを帯びていないこと、などから、チョウジチチタケかもしれない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a) 子実体:ミズナラ林、(b) 子実体裏面、(c) 標本を撮影、(d) カサ表面とヒダ面、(e) ヒダと汁液、(f) 柄基部の毛、(g) 胞子:メルツァー試薬、(h) ヒダ切片、(i) ヒダの先端、(j) スライドグラスに寝かせたヒダの縁:フロキシン染色、(k) 縁シスチジアと担子器:フロキシン染色、(l) カサ表皮:3%KOH+フロキシン染色

 チチタケ属のこの節のきのこには、なぜかヒダ切片を切り出しても縁シスチジアを上手く捉えられないものが多い(h, i)。でも、たいていは縁シスチジアがある。ヒダを一枚スライドグラスに寝かせて縁をみると目立ちにくい小さなシスチジアが見つかる。透明でコントラストも弱いのでフロキシンで染めたが、それでもわかりにくい(j)。縁シスチジアには担子器と同じくらいの大きさのものから、倍くらいのものまである。カサ表皮はアイタケ型ではなく、平滑で細い菌糸が絡み合っている。KOHで封入して少しほぐさないと、構造がよくわかりにくい。
 それにしても、チチタケの仲間の検鏡をすると、カミソリはすぐに切れなくなり、スライドグラスやカバーグラスは汁でベタベタになる。たまに珍しいことをするから余計にそれを感じた。

日( )
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