2010年10月1日(金)
 
カサ上表皮が球形細胞層
 
 多摩湖畔の緑地で9月25日に落枝が地面と接する部位に発生していきのこを観察した。地上から発生していたのか、地中の材からでていたのかは確認しなかった。
 カサと柄とはしっかりついていて簡単には分離しない。ヒダは赤紫色で胞子紋も同色。カサ表皮をルーペでみるときらきら輝いている。ヒダは離生〜湾生。柄は丈夫で表面には白粉をまとっている。シスチジアはない。ヒダ実質は類並列型。特別な臭いなどは感じられない。
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a, b) 子実体、(c) ヒダ、(d) 採取品、(e) カサ縦断面、(f) 胞子紋、(g) 胞子:水封、(h) ヒダ断面、(i) ヒダ実質、(j) ヒダの縁、(k, l) ヒダ、(m) カサ表皮、(n) 剥がしたカサ表皮、(o) カサ部の断面、(p, q) カサ表皮の断面、(r) 担子器

 胞子は水道水でもKOHでも色に変化はない。濃硫酸では淡色透明になる。表面はほぼ平滑に見えるが、合焦位置によっては微細な粒点があるようにも見える。何となく発芽孔があるように感じる。菌糸にクランプはなく、担子器基部にもクランプはない。カサ表皮が興味深い。20〜40μmほどの球形の細胞が重なって層をなしている。

 ヒダをスライドグラスに寝かせて縁をみると、シスチジアはなく球形の細胞が随所にみられた。球形細胞の出自がどこなのか不思議だったが、カサ表皮をみて納得した。柄の表面の白粉もカサ表皮と同様の球形細胞の集まりだった。カサの横断面を切ってみると、やや平行気味に走る菌糸の上に球形の細胞群が5〜6層に重なっている。この部分だけを剥がしてみると、球形細胞の膜になっていた。カサ表皮をルーペでみるときらきら輝いてみえるのは、この組織ゆえのものだったようだ。何科のきのこなのだろうか。モエギタケ科あたりに落ちるのか?

[2010.10.4 補足]
 どうやら、モエギタケ科 Strophariaceae ではなく、ハラタケ科 Agaricaceae アカヒダカラカサタケ属 Melanophyllum のアカヒダカラカサタケ M. echinatum らしい。保育社図鑑でも『日本きのこ図版 第二巻』(名部版) でも、アカヒダカラカサタケの菌糸にはクランプがあると記されている(p.617)。あらためて乾燥標本でクランプ探しをしたところ、クランプが見つかった。なお、幼菌の会編「きのこ図鑑」掲載の写真は、ヒダの色こそやや違え、ここでとりあげたきのことそっくりだ。


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