2012年6月1日(金)
 
海の防風林のCollybia
 
 いわき市の新舞子浜公園ではマツ林に小さなきのこが何種も見られるようになった。その中にひときわ目立つやや大きめのきのこがあった(a〜c)。カサ表面にはマツの花粉が多量に付着している(d)。柄には微毛が密生し下部は菌糸に被われる(e)。
 胞子は非アミロイド(g)。ヒダの断面を切り出したところ、側面にシスチジアのような組織がみえた(h, i)。念のためにバラしてフロキシンで染めると確かにシスチジアがある(j)。カサ表皮は水で封入してもよくわからないが(k)、KOHで置き換えると上表皮の菌糸には色素が螺旋状に取り巻いている(l)。油浸100倍レンズでみるとさらにはっきりする。おそらくアマタケなのだろう。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 最初に見たときには(a), (b), (c)のいずれもCollybiaだろうとは思ったが、これらが同一種なのか別種なのか、同一種だとすれば何なのか、さっぱりわからなかった。
 最初に見たのは若い子実体(a)で、これはヒダがさほど密ではない。(a), (b), (c)はそれぞれ別袋で持ち帰り、それぞれに胞子、ヒダ、シスチジア、かさ表皮、柄表皮を観察した。その結果、これらは同一種で、それぞれ成長段階が異なるだけであると判断した。

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