2012年8月9日(木) |
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磐梯吾妻スカイラインの起点近くの土湯峠付近の湿地でミズゴケからGalerina(ケコガサタケ属)のきのこが出ていた(a〜d)。胞子には微疣があり胞子盤も見られる(e)。ヒダの断面を切り出すと(f)、側シスチジアはなく縁シスチジアがある(f, g)。縁シスチジアはまるでボーリングのピンを思わせる(g, h)。菌糸にはクランプが見られ、担子器にもベーサルクランプがある(i)。カサ表皮は細い菌糸が匍匐している(j)。これらからミズゴケタケとしてよさそうだ。
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(a) |
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(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
(i) |
(j) |
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これまで見てきたミズゴケタケやミズゴケタケモドキ、ミズゴケノハナ、キミズゴケノハナは、いずれもすべてミズゴケ節(Sect. Sphagnum)のコケからでていた。一見他の節のコケからでているように見えても、脆くて長い柄の先をたどるとその先は必ずミズゴケ節のコケにたどり着いた(雑記2009.10.9、同2009.7.9)。そこで、つい最近まで、きのこが発生するミズゴケはミズゴケ節のコケに限るのではないかと思っていた。
ミズゴケ節のコケは一般に葉がボテッとしていて、他の節のコケとは肉眼的に簡単に区別できる。顕微鏡で見ると茎や枝の表皮細胞にはこの節特有の螺旋状肥厚がある(一例:オオミズゴケ)。ところが、このきのこの周辺にミズゴケ節のコケはない。そこで変だなぁと思って、きのこの柄の先をていねいにたどった。ところがやはり、ミズゴケ節のコケではなかった。調べてみると、ハリミズゴケ節(Sect. Cuspidata)のアオモリミズゴケ(Sphagnum recurvum)だった(k〜r)。
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