2012年9月22日()
 
胞子表面の微かな縦すじ:ミヤマベニイグチ
 
 一昨日家のすぐ近くの石森山でミヤマベニイグチを採取した(a)。保育社図鑑によれば、このきのこの胞子は「長楕円形で,表面にかすかな縦すじ模様がある」(p.281)と記されている。そして、検鏡図(p.277)には縦すじの描かれた胞子の図が掲載されている。
 この縦すじはよほど注意深く顕微鏡を覗かないと、ほとんど気がつかないほど弱い。蒸留水(b)、KOH(c)、KOH+フロキシン(d)、メルツァー液(e)で封入して、油浸100倍の対物レンズで胞子表面に合焦した。メルツァー液は胞子表面に薄膜を作るため、縦すじがわかりやすくなるのだろう。斜光照明にすれば水封でも期待がもてそうだが、やってみなかった。しかし、対物40倍レンズでは、どうあがいても縦すじの識別はかなり難しい(f)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 十年ほど前までは、顕微鏡を使ってきのこを観察する愛好家はとても少なかった。ましてや顕微鏡写真にいたっては論外だった。そこで、なるべく「安価な単眼顕微鏡と中古のコンデジ」で撮影した画像を主に掲載した(雑記2003.1.2同2002.8.19)。
 おまけに当時は自分自身のプレパラート作成や撮影の技術も稚拙だった。それもあって、「顕微鏡下の素顔」のミヤマベニイグチの胞子には、胞子表面のかすかな縦しわは全く捉えられていない。「顕微鏡下の素顔」の画像は、多くが2003年頃までのものゆえ、あまり芳しくない検鏡写真が多数載っている。これらは、おいおい差し替えて行こうと思っている。

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