2012年12月11日(火)
 
乾燥標本からの切り出し
 
 先月20日にいわき市新舞子浜の防風林でキチチタケを採取した(a)。ヒダに触れると白色の乳液がでて、みるみる黄色に変わった(b)。持ち帰ると直ちにカバーグラスに胞子紋をとり、その胞子を見て(c)、ヒダ断面を切り出して検鏡し(d〜f)、すぐに乾燥標本にした。
 今朝あらためて乾燥標本(g)からヒダの薄片を切り出した。12月に入ってからは意識的にボルトナットミクロトームを使っている(h)。片刃カミソリは1週間ほど前から数十回は使っているので、切れはよくないが、それでも厚さ30〜40μmほどのヒダ断面が切り出せた(i)。
 上段のヒダ切片の画像(d〜f)は、生標本を実体鏡下で切り出したものだが、乳液に邪魔されて思いの外厚いプレパラートになってしまった(d)。それに対して、乾燥標本をボルトナットミクロトームで切り出す方がずっと楽で、薄い切片が得られた。念のため、フロキシンでシスチジアと担子器を染めてみた(j, k)。カサ表皮切片の厚さは20μmほどだった(l)。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 最近は朝、顕微鏡やパソコンの前に座る前に、防寒対策の行事が加わった。ファンヒーターを点火し、湯たんぽをガス台で暖める。これらの作業を終えてから顕微鏡に向かうようになった。川口市の鉄筋密閉構造の部屋と違って、いわき市の木造住宅の朝は寒々としている。

日( )
HOME