2013年6月15日()
 
小さな脆いきのこの切片作成
 
 ザラエノヒトヨタケなどのヒダやカサ表皮の構造を知るためには、まだ蕾状態の幼菌を切り出せばよい。しかし、蕾を縦断したものを実体鏡の下で薄切りにするのは意外と難しい。そこで、簡単に薄切りするにはボルトナット・ミクロトームを活用すればよい。
 ここではネナガノヒトヨタケのカサ表皮とヒダ断面の切り出しをやってみた。馬糞上にわずかに頭部を表しはじめた幼菌を掘り出すと、地下に長い偽根が延びていた。今は柄や偽根は不要なので頭部だけを縦切りにした(b)。このブロックから断面を切り出すことになる。
 ミクロトームに挟み込むピスに多少の細工をする。まず二つに切ってしまい、きのこを挟み込むのに適した溝を掘る(c)。ここにきのこのブロックを挟み込んでミクロトームに挿入し(d)、カミソリで薄切りにする(e)。切り出したらピスと一緒にスライドグラスに置いて(f)、余分なピス片を取り除けばヒダとカサ表皮の薄片ができあがりとなる。カサ表皮に方向性がある場合には、ブロックの切り出し方向を間違えないようにしてピスに挟み込むのは言うまでもない。
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
 昨日の雑記のプレパラート(g〜l)もこの方法で作成した。ヒナノヒガサとかフユノコガサのような小さなきのこのヒダ切片を切り出す場合には、この方法は意外と役に立つ。イヌセンボンタケのヒダを一枚だけ実体鏡下に置いて切り出すのは難しいが(雑記2008.10.17)、このやり方をすれば切り出しは比較的楽にできる。

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