2014年2月16日()
 
丸い胞子のアラゲコベニチャワンタケ属
 
 2012年7月に神奈川県入生田で出会ったきのこである(a)。Schumacherのモノグラフと格闘し、Scutellinia minor におとした。さあこれで「今日の雑記」を書くぞと思い写真を選び、記録を読み返してみると、自信が持てなくなってしまった。剛毛の隔壁の数と根元の分岐数がS. minor とするには疑問が残った(b)。
 再度、乾燥標本から毛の顕微鏡観察をし直し、あらためて検索表をたどった。他に可能性のある種の記載を読みもらしているのもわかった。読みもらしていたS. barlae の記載には胞子が「完全な球形(perfectly globose)」と書いてあった。自分の計測結果を再検討をしてみると20個測った胞子のすべてがほとんど球形であった。類球形と思えるものはなかった(c, d, e)。

S. barlaeS. minor についての記載のnoteには両者が混同されていると書いてある。比較しやすいようにとこれらを表にしてみた。胞子の形、剛毛の隔壁、根元の分岐などからS. barlae に限りなく近いように思える。 (Y. A.)
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)

(表をクリックすると大きくなって読みやすくなります)

 このところやたらに顕微鏡やらExcelにかじりついていると思ったら、こんなことをしていたんだ! それにしても、慣れない大部のモノグラフを必死に読んだり、乾燥標本を何度も何度も検鏡してみたり、あきれるほどによくやっています。 (I. A.)


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