2014年8月27日(水) テングノメシガイの仲間ふたつ
 テングノメシガイの仲間は現地で同定することはほとんど不可能だ。顕微鏡で剛毛の有無、頭部の粘性、胞子の隔壁の数、側糸の形状などを確認する必要があるからだ。
 剛毛の有無については現地でルーペを使って知ることができる。粘性の有無は触ってみればおおよそ分かる。胞子や側糸については顕微鏡を見なければわからない。この仲間は未成熟でも多量の胞子紋を落とす。未成熟の胞子には液胞はあっても隔壁がほとんどない。

 川内村で採取した真っ黒な棍棒(a)をカバーグラスの上に寝かせておくと、一晩でカバーグラスが胞子で黒々となった。長さは1〜2cmだが十分成熟しているようだ。胞子には七つの隔壁がある(b, c)。子実層をみると、長い剛毛があり、側糸は棒状で先端がやや曲がり太くなっている。子嚢先端はアミロイドだ。典型的なナナフシテングノメシガイTrichoglossum walteriだろう。

 一方亜高山帯のミズゴケの中から出る真っ黒な棍棒は長さが10〜16cmほどあった(g)。これも数時間でたっぷり胞子紋が落ちた。胞子はナナフシテングノメシガイのそれよりややズングリムックリしている(h, i)。さらにこちらには剛毛がない(j)。側糸は上部が数珠玉のようになっている。子嚢先端のアミロイドもやや弱い。Geoglossum sphagnophilumだろう。これはG. glabrumのシノニムとされ、川村清一がタマテングノメシガイという和名を与えている。
 

(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 昨日は終日雨だった。このところの陽気はまるで秋霖の前倒しのようだ。


日( )
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