木の根元の空隙に束生するきのこ | |||||||||||||
先日急斜面に立つ樹木の根元の穴に大型のきのこが束生していた(a)。外側のきのこのカサは陽に当たって淡い肉紅色を帯びているが、奥の方のきのこはほとんど白色で、わずかに頂部が色づいている。大きく開いたカサは頂部がわずかに突出し、ヒダは柄に長く垂生している。ヒダの縁は内側に強く巻き込んでいる(b〜f)。なお、カサ表面には軽いぬめりがある。 なぜか胞子はあまり落ちなかった(g)。胞子紋は白色で、胞子は非アミロイドだ。シスチジアの類はない。ヒダの断面を切り出すと、実質は散開型をしている(h, i)。この時点でHygrophoraceae(ヌメリガサ科)のHygrophorus(ヌメリガサ属)のきのこらしいと推定される。 保育社『原色日本新菌類図鑑』のヌメリガサ属の検索表をたどると、Sect. Pudorini(フキサクラシメジ節)に落ちる。なお、担子器は長く(j, k)、カサ表皮にゼラチン質の皮膜は見られない(l)。さらに節の中の検索表をたどると、アケボノサクラシメジに落ちるようだ。 アケボノサクラシメジについての解説を読むと、おおむね一致するように思えるがいくつか符合しない。別種あるいは変種とするのが妥当かもしれない。とりあえずアケボノサクラシメジとして取り扱うことにしたが、典型的な姿からはほど遠い。 |
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